銀行で難しいと言われたときに確認する3つの状況
銀行で住宅ローンの利用が難しいと言われた場合、申込みの段階や審査結果によって、次に確認することが異なります。
| 銀行での状況 | 確認すること | 次に検討すること |
|---|---|---|
| 申込条件を満たさなかった | 事業年数・申告年数など、満たしていないと案内された条件 | 【フラット35】の申込条件に照らし、申込みを進められるかを確認する |
| 審査に通らなかった | 提出した資料や申込内容、銀行から受けた説明 | 収入・既存借入・信用情報・物件などを確認し、可能な範囲で原因を把握する |
| 希望額に届かなかった | 希望した借入額と提示額、融資に付された条件 | 総返済負担率の確認に加え、自己資金・購入物件・申込みの組み方などを見直す |
例えば、「事業を始めてからの年数が足りない」と説明された場合は、その銀行の商品が求める事業期間が最初の確認点です。
減額の提示を受けた場合も、「所得が少ないから」とは限りません。既存の借入や担保評価なども確認したうえで、【フラット35】の条件に照らし、申込みの組み方や購入計画を検討します。
銀行が、審査に通らなかった理由や減額の理由を具体的に説明することは、ほとんどありません。そのため、何が原因で、次の申込みに向けて何を見直せばよいのか、ご自身で判断するのは難しいものです。
個人事業主の住宅ローンで、銀行と【フラット35】は何が違うか
ここで比較する「銀行の住宅ローン」は、銀行独自の住宅ローン商品を指します。銀行でも【フラット35】を取り扱うことがあるため、窓口ではなく、商品ごとの違いを確認します。
銀行独自の商品は、金融機関・商品ごとに申込条件や審査基準が異なります。【フラット35】は住宅金融支援機構が示す共通の利用条件が基本ですが、取扱金融機関によって提出書類や手続などが異なる場合があります。
必要な申告年数が異なる
銀行の住宅ローンでは、個人事業主に対して、直近2〜3年分の確定申告書の提出を求めるのが一般的です。そのため、開業後の確定申告書が1年分しかない段階では、申込条件を満たせないことが多くなります。
【フラット35】では、開業後の確定申告書が1年分でも申込対象になります。実務上は、初回の確定申告を終え、所得金額を確認できる公的収入証明書などを用意してから申込みを進めます。
ただし、申込対象になることと、審査に通ることは別です。申し込める時期や、年の途中で開業した場合の年収換算、必要書類は、次の記事で詳しく解説しています。
出典:住宅金融支援機構「(給与収入以外の収入がある場合)最近自営業として起業したのですが、申込みできますか?」
関連記事:個人事業主が確定申告書1年分で【フラット35】に申し込める時期と条件
審査上の年収に使う所得の見方が異なる
個人事業主の住宅ローンでは、売上と所得を分けて考える必要があります。事業から得る収入については、売上から必要経費などを差し引いた所得金額を確認します。
銀行の住宅ローンでは、複数年の所得をもとに審査上の年収を確認します。直近3年分の平均所得と直近1年の所得を比べ、低いほうの金額を基準とする取扱いが多く見られます。直近の所得が増えていても、その金額だけで評価されるとは限りません。
【フラット35】では、原則として申込年の前年の収入をもとに、審査上の年収を確認します。事業所得や不動産所得は所得金額で、審査対象となる給与もある場合は本業・副業を問わず、給与所得控除前の給与収入金額で確認します。
年の途中で開業した場合には、開業後の所得を年換算する取扱いがあります。
事業用借入の扱いが異なる
個人事業主の借入は、事業用・個人利用のいずれも本人名義となるため、名義だけでは区別できません。信用情報だけでは、実際の資金使途を十分に確認できないこともあります。
銀行の住宅ローンでは、資金使途の確認状況や金融機関の基準によって、事業用借入も総返済負担率に含まれる場合があります。
【フラット35】では、個人名義であっても、資金使途が事業用であることを資料で確認できる借入は、原則として総返済負担率の計算には含まれません。個人利用の借入とは分けて扱います。
ただし、計算に含まれない借入であっても申告は必要です。
また、不動産賃貸に係る借入は、物件の形態などによって計算上の扱いが異なります。事業に関係する借入でも、すべてが同じ扱いになるわけではありません。
出典:住宅金融支援機構「年収による借入額などの制限はありますか。」
事業用と個人用が混在する場合の区分や、資金使途の確認資料、不動産賃貸に係る借入の扱いは、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:不動産投資ローン・事業用借入と住宅ローン|【フラット35】の審査での扱い
銀行から【フラット35】へ申込先を変えても確認が必要なこと
銀行から【フラット35】へ申込先を変えても、返済能力やこれまでの支払状況、購入する住宅は審査の対象です。確認方法や基準は商品によって異なるため、ここでは【フラット35】の取扱いに沿って、主な4つの確認項目を説明します。
| 確認項目 | 何を確認するか |
|---|---|
| 総返済負担率 | 住宅ローンとほかの借入の年間返済額の合計が、年収に占める割合 |
| 信用情報 | ほかのローンやクレジットの契約内容・返済状況 |
| 税金・社会保険料 | 納付状況と、遅れや未納の有無 |
| 購入する住宅 | 技術基準への適合と、住宅の利用目的 |
総返済負担率|住宅ローンとほかの借入を合わせて確認する
【フラット35】では、住宅ローンと、計算対象となるほかの借入の年間返済額を合計し、年収に占める割合である「総返済負担率」を確認します。基準は次のとおりです。
| 年収 | 総返済負担率の基準 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
マイカーローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードの分割払いやリボ払いなど、個人利用の借入が計算対象です。総返済負担率の計算では、借入残高ではなく、年間でいくら返済するかを確認します。
出典:住宅金融支援機構「年収による借入額などの制限はありますか。」
銀行で減額された方は、銀行と【フラット35】で、審査上の年収や計算対象となる借入の扱いに違いがないかを確認します。
今回申し込む住宅ローンの返済額は、金融機関が審査に用いる金利である「審査金利」で計算します。【フラット35】の申込み時の審査では、申込月の金利を用います。
なお、実際の借入れに適用されるのは、資金受取時の金利です。
総返済負担率が基準内でも、希望額の融資が保証されるわけではありません。まずは、審査上の年収と現在の借入状況をもとに、希望額で申し込む場合の総返済負担率を試算し、基準内に収まるか確認してみましょう。
信用情報|契約内容や返済状況を確認する
【フラット35】の審査では、ほかのローンやクレジットの契約内容・返済状況も確認されます。過去に返済の遅れがあった場合は、遅れた時期や期間、その後の返済状況を確認します。
返済の遅れに心当たりがある場合や、登録内容がわからない場合は、該当する信用情報機関の本人開示制度で確認する方法があります。例えばCICでは、契約内容や支払状況、残高などの登録情報を確認できます。
出典:CIC「情報開示とは」
なお、信用情報に「異動」などが登録されている間は、その方を申込人とする【フラット35】の審査通過は難しいと考えた方がよいでしょう。
開示結果から、審査に影響したと考えられる点を確認します。そのうえで、申込内容やほかの資料も踏まえ、申込み方の見直しや必要な準備を検討します。
税金・社会保険料|納付状況を確認する
個人事業主の住宅ローンでは、所得金額とあわせて、税金の納付状況を確認します。また、提出する確定申告書等の内容によっては、国民健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料についても、納付資料を求められる場合があります。
納税証明書(その1)は、納付税額等を証明する書類です。
審査では、納税証明書(その1)に記載された納付すべき税額や納付済額、未納税額に加え、延滞税の有無や納付状況も確認されます。
税金や社会保険料の支払いに遅れや未納があった方は、現在の納付状況と、遅れが生じた理由・経緯を整理しておきましょう。未納が残っている場合は、金額を正確に把握し、次の申込みに向けて納付の方法や時期を検討しましょう。
物件条件|技術基準への適合と住宅の利用目的を確認する
【フラット35】を利用する住宅は、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合している必要があります。原則として、その適合を証明する「適合証明書」を取得します。
銀行から【フラット35】へ申込先を変える場合は、適合証明書の有無や、取得に必要な手続も確認します。中古住宅には、一定の条件を満たせば適合証明の手続を省略できる取扱いもあります。
対象となるのは、ご本人または親族が住むための住宅です。ご本人が週末などに利用するセカンドハウスも含まれます。第三者へ賃貸する目的の物件購入には利用できません。
物件が決まっている場合は、購入の申込みや契約の予定とあわせて、適合証明書を取得する見込みや決済までの手続を、不動産会社や取扱金融機関へ確認しておきましょう。
次の申込みに向けて、何を確認・準備するか
当社の取扱実務(2026年9月時点)
ハウスローンパートナーズ株式会社(【フラット35】代理店)では、銀行の住宅ローン審査に通らなかった方や減額された方のご相談にあたり、申込先や銀行から受けた説明、提出資料、ご本人の収入・借入・購入計画を確認します。
親・配偶者・子などご家族の状況も伺い、【フラット35】での申込みの組み方と、必要な準備をご提案します。
銀行から伝えられた内容と、希望条件を共有する
最初に確認したいのは、どの銀行に、どのような内容・書類で申し込み、どのような回答を受けたかです。次の内容を、わかる範囲でお伝えください。
- 申込先と、相談・事前審査・本審査のどの段階で回答を受けたか
- 希望した借入額・返済期間と、銀行から回答された金額や条件
- 銀行へ提出した書類
- 銀行から実際に伝えられた説明。理由が示されていない場合は、その旨
- 購入予定の物件、自己資金、契約・引渡しの予定
申込書の控えや提出資料があれば、前回の申込内容を確かめやすくなります。
手元の資料で、確認できることと不足していることを分ける
次に、手元の資料を使って、収入や借入、購入予定の物件の内容を確認します。相談時にすべての申込書類がそろっている必要はありません。確認に必要な書類を、状況に応じてご案内します。
- 確定申告書・納税証明書など:何年分の所得金額や納税状況を確認できるか
- 借入先ごとの借入内容がわかる資料:資金使途、借入残高、現在の年間返済額を確認できるか
- 購入予定の物件資料:取扱不動産会社・売主、物件種別、購入価格などを確認できるか
- ご家族の収入がわかる資料:ご家族が申込人や収入合算者になることを検討する場合に、源泉徴収票や確定申告書などで収入を確認できるか
ご家族については、同居・別居を含む状況や年齢・収入、購入する住宅への居住予定も伺います。誰を申込人とし、どのような組み方で申し込むかを、ご家族の意向も踏まえて検討するためです。
借入については、事業用と思われるものも含めてお伝えください。資金使途や資料を確認し、申込みにあたってどのように扱うかを判断します。
正式な申込みでは、取扱金融機関が指定する書類の提出が必要です。手元の資料を確認したうえで、追加で何を用意するかをお伝えします。
確認した結果に応じて、申込み方や購入計画を考える
必要な情報がそろったら、誰を申込人とし、どのような組み方で申し込むかを具体的に検討します。
収入・借入・ご家族の状況などを確認しても希望額での借入れが難しい場合には、自己資金を増やして借入額を抑える、購入物件を変更する、申込みの時期を見直すといった対応が必要になることもあります。
また、既存の借入の完済が必要になる場合は、完済に使う資金と、その後に住宅購入へ充てられる自己資金をあわせて確認します。
「申込前に整えることがあるのか」「購入条件の見直しが必要か」。当社では、確認できた内容をもとに、進め方を個別にご提案します。
【フラット35】の審査に通らなかった場合も、内容を見直して再度申し込める
【フラット35】の審査に通らなかった場合も、申込内容を見直したうえで再度申し込むことができます。当社では、前回の申込内容や提出資料を確認し、不承認の要因として考えられる点を可能な範囲で把握します。そのうえで、状況に応じた改善策を検討し、再申込みの進め方をご提案します。
まとめ|銀行での結果を踏まえ、【フラット35】での進め方を検討する
個人事業主の住宅ローンでは、銀行と【フラット35】で、必要な申告年数や所得の評価方法、事業用借入の扱いに違いがあります。そのため、銀行で難しかったという結果だけで、【フラット35】でも同じ結果になるとは限りません。
まずは、「申込条件を満たさなかった」「審査に通らなかった」「希望額に届かなかった」のどの状況かを確認します。そのうえで、前回の申込内容や提出資料をもとに、【フラット35】の条件に照らして検討します。総返済負担率、信用情報、税金や社会保険料の納付状況、購入する住宅の条件も確認が必要です。
銀行から理由を聞けていない場合や、何を見直せばよいかわからない段階でも、ご相談いただけます。
ハウスローンパートナーズでは、銀行から受けた説明と、ご本人の収入・借入・購入計画に加え、親・配偶者・子などご家族の状況も伺います。それらを踏まえ、【フラット35】での申込みの組み方と、次の申込みに向けて必要な準備をご提案します。
「自分の場合は、通るのか。」
進め方を個別にご提案します。